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コンサル転職のスカウトは受けない方がいい理由

Don’t be afraid to give up the good to go for the great. ーJohn Davison Rockefeller

グレートに到達するためにグッドを捨てることを恐れてはならない。

ジョン・ロックフェラー

転職サイトに登録していたらコンサル会社からスカウトが届いたのですが,、これは受ければ通ると期待してよいのでしょうか?

もし、あなたが元々コンサルファームを目指していて面接準備が整っているなら選考に進んでも良いのですが、基本的にはコンサルファームに受動的に応募してしまうことはおすすめしません。

リクルーターからのスカウトというのは、あくまでも書類選考が通ったという状態に過ぎません。そこから先は正規の面接ルートに乗るだけなので、合格に至るのはわずか数%の狭き道です。もしあなたがそのファームに応募するに足る準備ができてなければ、あえなく不合格通知を受け取ることになるでしょう。慌てて応募せず、しっかりと吟味して欲しいと思います。

この記事では、なぜコンサルファームからのスカウトがあるのか、どうしてスカウトを受けない方がいいのかについて解説してみたいと思います。

そもそもスカウトとは?

スカウトという言葉の響きからは、企業から招待される特別な採用枠のような印象を受けますが、実際にはそのような特別な意味合いはありません。

転職エージェントの中には、契約企業に対して登録者のレジュメを公開しているような会社があります。そういった公開レジュメを人事側が見て、書類選考の合格条件を満たしたものを選んで声をかけるというのがスカウトです。

つまり、スカウトというのは、あくまでも応募者の母数を増やすためのプロモーション施策の一つです。

なぜコンサル会社がスカウトするのか?

近年、コンサル需要の高まりは年々加熱しており、その勢いは止まる気配がありません。

それに伴ってコンサル業界では人材獲得競争が激化しています。少しググれば、転職説明会などを積極的に行っているファームをたくさん見つけることができると思いますが、採用数が目標に届いておらず、どのファームも人材不足で悩む状態が恒常化しています。

そこで、各社、社員からのリファラル採用や、スカウトなど、従来型の募集形態ではアプローチできなかったコンサルファームに興味を持っていない人材に対して声をかけて応募数の拡大を狙っているというのが現状です。

リファラル採用については下記の記事で詳述しています。

外資系コンサルタントになりたいならまずリファラル(紹介)を狙おう

スカウトで合格率は上がるのか?

冒頭にも書いた通り、スカウトを経由して応募しても合格率は上がりません

それどころか、むしろスカウト経由の合格確率は低いのではないかというのが実際に面接を担当しての実感です。(ここを切り出したデータは見たことがないので、あくまでも肌感覚ですが)

人事部門が採用に当たって見るべきKPIは、応募総数と内定率、そして内定後の定着率ということになると思いますが、この実感に基づけば、スカウトによる採用は、応募総数は高めつつもそれ以外の指標をおそらく下げてしまう結果に繋がっています。

面接を担当する現場のコンサルタントからすると、もっと面接頻度少なく内定率を高めるような採用活動をやって欲しいと思いますし、時にそのための採用方法の見直しなどの手伝いもするのですが、現実問題として難しいのは、書類選考段階で内定確率を統計的に予測するのには限界があるということです。

もちろんベテランの面接官であれば、書類を見た段階でコンサルとして活躍できそうかどうかはある程度予測ができるのですが、それでも実際には書類はイマイチだったけれど実際に話を聞いてみるとめちゃくちゃ優秀で、採用後も大活躍するような人もいますし、逆に経歴は立派だったのにコンサルとしては活躍できないような人もいるというのが悩ましい。

しかも、ベテラン面接官というのは、現役バリバリでクライアントワークを担当しているマネジャー、パートナー陣なわけで、付加価値の低い書類選考に積極的に関わることは現実的ではありません。したがって、アウトソースなどを利用して機械的に選別するような方法で進めざるを得ないという側面があります。

すると、結果的に書類選考や適性試験段階の合格率はある程度高くしておき、面接で選抜するという方法が人事的な最適解となるわけです。結果、どれだけそこに多く人を送り込むかということになり、前章で述べた通りスカウトを使うという施策に帰結するわけです。

当然、人事としても合格率を高めるため、本面接に進む前に説明会への参加を促したり、カジュアル面接を行うなど事前にある程度のコミュニケーションは取ってくれるはずなので、志望が固まっていない場合に、そういった場を設けてもらえるのはメリットといえるかもしれません。

が、実感としては残念ながらそれが奏功しているようには思えません

やはり受動的に選考を受けようという人と、初めから本気でコンサルになりたいという人とではそれにかける熱量が違います。残念ながらそれは態度だったり、情報の理解度だったりに現れてしまうので、面接の中で伝わってしまうのですよ。

スカウトのデメリット

本気で内定を取りたいのであれば、やはり応募書類は応募先のファームに向けて最適化したものを提出すべきです。スカウトに引っ掛けてもらうようなとりあえずエージェントに登録した書類は、その部分が圧倒的に不足してしまいます。

これがスカウトで面接に進んでしまった場合のデメリットの1つ目です。

面接に進んだからには、それなりに志望動機は固まっているのでしょうが、それを採用担当に見られる文章として言語化したかどうかは、理論武装の度合いに大きく影響します。もし、スカウトを経て本当に興味を持ったのであれば、面接に進む前に改めて志望動機を書き直した書類を送り直すくらいのことはするべきですね。

また、スカウトで応募タイミングを決めるもう一つのデメリットは、面接タイミングをコントロールしづらいところでしょう。

コンサルファームにチャレンジするのであれば、複数のファームを併願して受けるべきです。どうしても行きたい特定のファームがあるかもしれませんが、そうであればなおのこと練習のためにも他ファームへも事前に応募して面接の場数を踏んでおくことも重要です。

よほど優秀で世界的に誇れるような実績を積んでいる人であれば複数ファームからの内定をもらえることもあるでしょう。そういう人もごく稀にいます。しかし、ほとんどの内定者については、いくつものファームを受けて、どこか1つ運良く内定をもらえたという厳しい戦いなのです。

最後に

コンサルファームからのスカウトが来ること自体は誇ってもよいと思います。少なくともあなたの経歴は、内定しうる条件を満たしているということですから、そこは自信を持ってよいでしょう。問題は、そこから先を勝ち抜き、そしてコンサルタントとして戦っていく準備が整っているかということです。

なぜそのファームでなくてはならないのか。コンサル特有のケース面接に対応する練習はしたのか。舞い上がってスカウトを受ける前に、一度、冷静に考え直してみることをおすすめします。そのタイミングでスカウトを受けずとも、準備ができた段階で、再度こちらから応募すれば再び同じスタートラインに立てる可能性は高いのですから。