Find something you love to do, and you’ll never have to work a day in your life. ーHarvey Mackay
好きなことを見つけなさい。そうすれば、あなたは1日だって働く必要がなくなるのです。
ハービー・マッケイ
コンサルの仕事でやりがいを感じるときってどんなときですか?
この質問、面接の逆質問でとてもよく聞かれます。二人に一人は聞いてくるベタな質問なので、誰かがレクチャーしてるのかなと思ったらやっぱり転職エージェントのサイトでこの質問をしなさいと書いてあるのが見つかるのですよね。。。
ちなみに私の経験上、この質問をしてくる応募者は総じて筋が悪いと感じる方が多いので、もしこの質問をしようと準備していた方は、下の記事を読んだ上で本当にこの質問でお茶を濁すべきか、しっかり検討することをおすすめします。
コンサル面接の逆質問、聞いたら不合格リーチの問答集とはいえ、出願にあたって気になることではあるでしょうから、この記事では私の経験に基づいて、コンサルタントのやりがいについて記載してみようと思います。概ね他の大多数のコンサルタント経験者にも同意してもらえる内容になるのではないかと思います。
目次
クライアントからの感謝
直接的な感謝の言葉
ベタベタですが、ビジネスパーソンとして、これに勝る喜びはありません。いくら成果を出していても、決してお安くはないフィーをいただくことに多少の罪悪感は感じてしまうのが人情というものです。
また、未踏の地を進むプロジェクトワークで全てが順風満帆に行くなんてこともありえません。むしろ胃が痛くなるような事態の連続と言った方が正しいでしょう。そんな中、クライアントからの感謝の言葉ひとつであらゆるネガティブな感情が吹き飛んでしまうというのは不思議なものですが、事実です。
このサイトに訪れる方にとっては意外かもしれませんが、コンサルという仕事は、発注元の経営層はともかく現場の方からは毛嫌いされていることが多かったりします。だからこそそういった方たちからいかに信頼を勝ち取り、一緒に戦える仲間になっていくかというのは、コンサルタントとしての腕の見せ所でもあります。
苦心した結果、仲間と言えるまでになったクライアントと交わす一杯を飲む時に感じる喜びは何者にも代え難いものです。
指名・案件の拡大・案件獲得
会社の看板で仕事をしているとはいえ、やはりクライアントからの指名を受けることはコンサルタントとして目指すべき到達点の一つです。
継続的に発注をもらえるというのは、シニアクラスにとってはそもそもこの業界で生き延びるためにとてもありがたいことでもありますが、何よりも名指しされるだけの信頼を得ているということは、さらに成果を出したいというモチベーションにつながります。
もちろんマネジャー未満のスタッフクラスであっても顧客からの直指名というのは大きな価値を持ちます。私も若いスタッフ時代、当時一緒にやっていたマネジャーではなく、私がプロジェクトリーダーとして新規案件を担当して欲しいという顧客からのご指名を得たことがあります。
今から考えれば経験不足もいいところでしたが、それでも当時、働く姿勢が認められたことは大きな自信につながりましたし、歯痒くも誇らしい気持ちになったその場面は今でもありありと思い出すことができる強烈な経験でした。
そのような喜びを得て、成長意欲がますます高まっていくというポジティブなサイクルに乗ることができれば、この業界で長く活躍を続けることも難しくなくなるでしょう。
達成感
プロジェクトの完遂・成果
コンサルという仕事は、文化祭のようなお祭り騒ぎが好きな方はきっと夢中になれる仕事だと思います。
プロジェクトを完遂して最終日を迎えるのは、文化祭の最終日を迎えるのに近い感慨があります。それも、あなたはその文化祭の実行委員としてその日を迎えることになるわけですから、感動もひとしおです。
いろんな種類の仕事がありますが、プロジェクトである限りはどこかで節目のタイミングを迎えます。プロジェクトが成功裡に終わったとき、どんな過程を経たとしても全てが報われるように思います。
きっと実力不足で思うような成果を出せないこともあるでしょう。それでも、その悔しさは次のプロジェクトのモチベーションを高めるバネになります。私も未だに思い出すと悔しくて胸がちくちくする感覚が蘇る苦い経験がいくつかあります。
当時は苦しくてしょうがなかったけれど、それすらも終わってみれば自分の血肉になっていると感じられるのは、それだけ真剣に向き合ってきたということの裏返しだとも思います。そうやって頑張ることができる環境があるというのは、社会人冥利に尽きるのかもしれません。
社会的な意義・評価
プロジェクトのテーマによっては、社会的に大きな意義をもつものも多くあります。私個人はもっぱら営利企業向けのお仕事しかしてきませんでしたが、政府やNPOとの仕事を選ぶこともできるでしょう。(巷のニュースで叩かれるほど日本の官僚は邪悪ではなく、むしろ高邁な志で世の中を良くしようと苦心されている方が大半です。)
営利非営利に関わらず、その取り組みが一企業や一個人のためではなく、世の中に大きな価値をもたらすと信じられるときに感じるモチベーションは別格のものです。文字通り寝食を惜しんで働きたい衝動にかられるという経験はなかなかできるものではないですが(食事を抜きすぎて1週間で体重が3キロ超減少した経験が何度かあります)、コンサル業界では、実力があればそういった仕事にアサインされたり、自ら作り出すことも可能です。
プロジェクトの成果をプレスリリースとして発表したり、各種メディアから取材を受けるということもあるでしょう。新聞に載ったそのプロジェクトや新サービスが、紙面に名前がなくとも実は自分がやったものだという矜持もまた、なかなか得難い経験だと思います。
もっとも、これ実は俺がやったんだよね。と言えない一抹の寂しさはありますが。
狙った通りの効果を実現
私個人として一番達成感を感じた瞬間は、自分が企んだシナリオ通りの結果がついてきたときでした。もちろんすべての試みがうまくいくほど甘い世界ではないからこそ、狙い通りに物事が動いたときの感慨は他のどんな体験も霞みます。
正しい原理を読み解くことができれば必ず正しい結果につながる。そう思えるような経験はコンサルタントとして長く働く上で大きな拠り所になるものだと思います。そこは上司や顧客への忖度などは一切通用しない世界で、これぞコンサルの醍醐味だなと思います。
成長の実感
できなかったことができるようになる
入手可能な情報の多寡そのものは問題解決において最重要事項ではありません。ビジネスは情報を解釈していかに最適解に到達するかという戦いです。
プロジェクトの局面ごとで必要なリサーチはスタッフが担当するので、目先の情報量は彼らが一番持っているし、その情報を基に彼らが論理的に導いた結論も妥当性が高いです。しかし、才気あふれるスタッフがまるで思いつかないような策を全く違う糸口から導き出す能力こそ、エグゼクティブクラスが身につけるべきものです。
全く異なるシチュエーションで過去に検討していたことが、何年も後に活用できるという経験は、長くコンサル業界にいる人であれば誰しもが経験するのではないでしょうか。以前は歯が立たなかったような問題に対処できるようになっていることに気づくことがあります。折々に感じるそのような瞬間が、心折れそうになるときにもう一歩進んでみようという勇気を与えてくれます。
チームメンバーの成長
マネジャークラスになると、自身の成長はもとより、自分が率いる組織やプロジェクトチームの成長への責任が生じます。
世の中のすべてのマネジャー陣が共感してくれると思いますが、一定規模のプロジェクトにおいて必要な人材が全て揃った状態で立ち上げることができることなど決してありません。どんなプロジェクトもなんらかのリソース不足で始まるのが世の常です。
したがって、プロジェクトの成否にはチームメンバーの成長度合いが大きく影響します。中にはパフォームできない人材をすぐに切り捨ててメンバーを入れ替えるようなマネジャーもいますが、それは責任放棄に近い部分もありますし、何よりもチームの成長を促進するというマネジャーロールの醍醐味を捨てているとも思います。
人材育成やチームビルディングの方法論については、別記事で詳述していこうと思いますが、まず大事なのは仲間の成長に対してコミットしようという心構えでしょう。
ただし、自身の成長の方向性は自分がコントロールすればよいですが、他人の意思はコントロールしようとしても無駄です。あくまでもメンターとして、あるいはカウンセラーとして動機付けしつつ、成長のための機会を提供していく。
これがはまって、強いチームができあがっていくのを見るときに、それまで自身の成長に対して感じてきたやりがいとは全く違った面白みを感じることができます。
多くの事業会社とは違い、手塩にかけて成長に手を貸した人材も、非常に短い期間でまた別のチームに移動していくのは寂しくもありますが、あるところでまた出会い、あるいは遠くで活躍を耳にすることで、成長したかつての部下に対して感じる親心のような感情もまた働く上でのモチベーションの一つかなと思います。
まとめ
コンサルタントのやりがいって何?という質問に対してお答えしてみました。
ざっと書き出してみれば、やりがいの内容自体は事業会社で得られるものとそれほど違いがあるわけではないと感じるのではないでしょうか。実際、そうだと思います。
ただし、非常に短期間でチームも顧客も変わるというサイクルの違いは大きいと思います。場面転換が多いので、やりがいを感じる局面が多いということ。そして、ひとつひとつのプロジェクトはルーティンではなく、顧客からすれば10年に一度、あるいは一生に一度かもしれないような社運をかけたようなプロジェクトだったりするというのも特殊な環境ですね。
そこに関わる人たちの熱意、そしてそれを必ず成功させないといけないという高揚感やプレッシャーとともに味わう感情は、他の仕事では得難いものなのだろうと思います。もし、この記事を読んで琴線に触れるようなものがあったなら、ぜひ一度コンサルの門戸を叩いてみて欲しいなと思います。