Judge a man by his questions rather than his answers. ーVoltair
いかに答えるかではなく、いかなる問いを発するかで人を判断すべきである。
ヴォルテール
コンサルの面接では逆質問が大事だと聞いたのですが、どんな質問をすればよいのか知りたいです。
逆質問と言うらしいですが、コンサル面接に限らず、面接の最終盤のタイミングで「何か質問はありますか?」と面接官から問われることがあると思います。
面接官の立場から言うと、この質問を発した時点で合否判定に必要な情報は入手し終えた状態なので、基本的にはどんな質問をしても合否判定に大きく影響することはありません。
この問いの主目的は、候補者の持つ疑問や悩みを解消することによって自社への志望度を高めて終わりたいというところにあります。(人事的に言うと魅力付けの時間ということになります)よって、冒頭のご質問に対しては、「自分が知りたいことを素直に聞けばよい」というのが回答になります。
しかし現実問題としては、数多くの面接を担当してきた経験上、どうやら合格水準に届かない応募者がしがちな筋の悪い質問がありそうだという感触を持っています。そこで、この記事ではそういった質問の例をあげて、なぜそれが筋が悪いのかを解説してみたいと思います。
- 筋の悪い質問とその理由
- 筋の悪い質問をしてしまわないためにどんな準備をすればいいのか
タイトルで煽ってしまいましたが、これらの質問をしたから即不合格にされるというものではありませんが、こういった質問を発してしまうような思考はコンサル向きではないということを念頭に読んでください。
目次
筋の悪い質問3選
面接官個人に関する質問
- あなたのキャリアは?
- あなたがコンサルの仕事でやりがいを感じる瞬間は?
- どんなプロジェクトを担当しましたか?
このような面接官個人に関する質問をしてくる人がとても多いのですが、どうやらWEB検索すると最初の方に出てくる粗悪なコンサル転職斡旋サイトに模範例として載っているのですね。いかにWEBの情報を鵜呑みにしている人が多いかがわかります。いわゆるググってもカス事例の一つですね。
一見、まともそうに見えるこれらの質問は実はとても筋が悪いものです。
まず何よりも質問意図が読み取れません。何者が出てくるかも分からない面接官の個人情報を聞いて、あなたは何を確かめようとしているのですか?それはあなたのキャリア選択になんらかの影響を及ぼしうるものですか? そしてあなたが聞くべき回答を面接官がしてくれると思いますか?
もし面接官が抱くこの疑問に明確に答えられないなら、これらの問いから導かれる時間はただの興味本位の雑談タイムになってしまうことに気付いてください。
現役のコンサルタントから実体験を聞いてコンサルタントになった自己イメージを高めたいという言い分はわかります。が、それを確かめる場面として、面接時間を利用することが相応しいかどうかは考えた方がよいでしょう。
あなたと面接官との類似性 、面接官のあなたへの理解度 、 面接官が本音で語る度合いなど、これらの因子の影響は小さなものでしょうか?どんな面接官が登場するか分からない中、それでもあなたが知りたい、知るべき事柄を高精度に得られるような質問こそが意味のある質問であると心得ましょう。
面接官が答えられない質問
どんな顧客がいますか? どんな案件を担当していますか? 組織には何人所属していますか?などなど。守秘義務があり答えられない質問もあるあるです。私が面接官であれば、「それは答えられないのですが、なぜそれを聞きたいのですか?」と質問で返答します。
こういった類の質問をする際は、自分の質問意図を深掘りし、あなたが本当に聞きたいことを聞き出すための問いに変換する必要があります。
例えば、「どんな案件がありますか?」というのは、自分が入社後にどんな仕事に関わることになるのかを知りたいのかもしれませんね。だとすれば、自分がどんな仕事をしたいと思っているのかを具体的に話し、そういった種類の仕事ができるのか?と聞いてみるとよいかもしれません。
あるいは、もし入社後最初のアサインが不安なのであれば、自分がもし今アサインされるとするとどういった仕事を担当することになりそうですか?など、面接官が確認済みの自分に関する情報をうまく利用して、面接官が答えやすい問いにするような工夫もできますね。
このように相手から適切な回答を引き出すテクニックもまたコンサルタントとして必須のスキルです。コンサルタントとして活躍しようと思うのであれば、面接の場面もコンサルスキルを磨くトレーニングの一つと捉えて取り組んでみて欲しいと思います。
調べればわかる質問
WEBサイトのトップページに書かれているようなことを聞いてくる人のなんと多いことか。
コンサルの仕事の中でもインタビューやヒアリングは非常に重要性の高いタスクです。インタビュアーの時間を奪わず、重要な情報を確実に引き出すことが求められる中で、事前に入手できる情報を取りこぼしてインタビューに臨むなんてことは断じて許されません。そんな失敗を犯したスタッフは2度とプロジェクトにアサインしてもらえることはないでしょう。事前準備不足というのは、そのくらい致命的な欠陥なのです。
必ず最低限のリサーチはしておきましょう。
どんな質問を準備すればよいのか
実は筋がよい人がするような質問というのもいくつかあるのですが、ここに晒すことはしません。自力でそこにたどり着けなければ意味がないので、ここではそういった質問をたぐり寄せるための思考方法についてヒントを書いておきましょう。
あくまでも一例ですが、やはりフレームワークを使って考えてみることが有効です。
キャリア論で語られるように、あなたが「得意なこと」「やりたいこと」「求められていること」という3つがキャリア形成上意識すべきことですね。この3つの要素が重なる部分が大きくなるほどあなたのキャリアはハッピーなものになると考えられます。
面接官は採用基準として「得意なこと」と「求められていること」の部分に一定の基準を持っています。そこにあなたが達しているかどうかを確認していくのが採用面接なわけです。つまり、面接の中で問われるのはベン図のA、Bの領域に関することが主になるはずです。
逆にあなた自身は、やりたいことを最大化したいはずですが、面接官からの質問では、このベン図の中で、あなたがやりたいことの中で、得意でも求められてもいない部分の領域は触れられていないはずです。
さて、あなたのキャリア選択上、この部分は無視してしまってもよいのでしょうか。もしここをなんらかの形でA、Bの領域に持っていけるようなチャンスはないでしょうか?
このように何らかのフレームワークを使って思考の整理ができていると、どこぞのサイトに書いてあるおすすめの質問をそのまま面接で使うなんてことをしなくて済むわけです。何よりフレームワーク思考ができているかどうかは話していてわかるんですよ。ああ、この人はこういう考え方で情報を整理して話をしているんだな、と。
ちなみにこういった整理をすることで、面接前にあなたが情報収集すべきことも絞ることができます。筋の悪い質問で挙げた、サイトに載っている情報を聞いてしまうミスもこれで防げるはずです。面接に臨むのに企業のサイトを見ていないということはないでしょう。にも関わらずサイトに載っていることを聞いてしまうのはなぜなのか。それは、目的意識を持たずに見ているから記憶に残っていないからです。
単に漠然と応募先企業のリクルーティングサイトを眺めるのではなく、積極的にあなたが知るべきことにフォーカスして情報収集し、構造化して分析し、足りない情報が何なのかを見極める。そうやって出てきた疑問点こそが、面接の場で確認すべき質問です。
このような考え方こそがまさにコンサル業界に入ったら即求められるものなので、ぜひ面接に臨むに際して楽しんでやってみてください。もしそれを面倒だとか、つまらないと思うのであれば、おそらくあなたはコンサルには向いていません。
最後にもう一つ付け加えるなら、本当に筋の良さを感じる候補者は、事前に考えてきた質問だけではなく、面接のコミュニケーションの中で疑問を持ち、それを解消するようなインタラクティブな質問を投げかけてくることが多いです。そのような柔軟性まで見せられるような方はコンサルタントになってからも着実に成果を出しています。
以上、ぜひ面接官を唸らす筋のよい質問を考えてみてください。