Our incomes are like our shoes; if too small, they gall and pinch us; but if too large, they cause us to stumble and to trip. ーJohn Locke
所得とは靴のようなもので、小さすぎれば締め付けて苦しめるし、大きすぎればつまずかせてしまうものです。
ジョン・ロック
コンサル転職を考えているのですが、時給換算するとマック以下になるほどの激務という噂も聞きますが、実際のところどれくらいもらえるのでしょうか?
この時給マック以下という話は私が学生だった20年前から言われていた都市伝説ですが、さすがにそれほど低い水準になることはありえません。コンサルタントが激務というのは事実ですが、この激務というのは勤務時間が長いという意味ではありません。そのあたりも含めてこの記事ではコンサルタントの時給にフォーカスして書いてみたいと思います。
パートナークラスまで到達すれば、余裕で時給1万円を超えます。
目次
時給マック以下は本当か?
いい機会なので本当にマック以下の時給になってしまうのか計算してみましょう。
計算を単純化するために、年収500万円と設定し、残業代固定で深夜残業代がつかないとしてみましょう(法的にアウトなのでありえないですが、100%サービス残業と仮定してみます)。さらに年間120日の休みがあるとすると1日あたりの日給は約2万円。さすがに休日のサービス出勤は今の時代ありえないのでそれは仮定しません。
つまり、1日20時間以上になると時給1000円を割るという結果になります。
現実的にはそれほどの長時間労働を継続できるわけがないので、計算上はどう足掻いてもファーストフード店のアルバイト並みの時給になるなんてことはないわけです。
実際問題として、36協定でどの会社も45時間を超えた残業は許されない社会になってきていますし、そもそも今の相場観だと年収500万円という設定は、外資コンサルの給与水準としては総合系ファームの新卒1年目だとしてもやや少ないようにも思います。
実際の時給はどのくらい?
では、実際にどのくらいの水準になるのか、もう少し現実的な数値で計算し直してみましょう。
まず新卒1年目の場合、残業込みで600万円として、先ほどと同じく年間240日勤務。さらに平均残業時間2時間で1日10時間労働とすると、計算結果は時給2500円。このあたりが外資コンサルとしての最低賃金になると思いますがどうでしょうか。 決して高いとは言えませんが、それほど悪い数値ではない気がします。
では、そこから少し出世して3〜8年目くらいで到達可能なマネジャー職ではどうでしょう。もちろん給与水準は人によってブレが大きいですが、ここでは駆け出しマネジャー相当の年収1200万円で計算してみましょう。残業時間をやはり10時間と仮定すると先ほどの新卒の倍、時給5000円という水準になります。
このくらいの給与水準になると税金も3割を超えてくるので、税金高いなぁという感覚がつきまとってきますが、それでも多少の贅沢をしてもお金は増えていくモードに入る頃だと思います。当然、クライアントからいただくフィーはこの何倍にもなるので、それを考えると1秒も無駄にできないというプレッシャーものしかかってくるようになりますね。
さて、上記の計算から時給1万円に到達するのはおよそ年収2400万円程度だというのが分かると思います。この水準は、もちろんファームによって上下ありますが、およそシニアマネジャーのトップ層からパートナーになりたてくらいの水準です。新卒からわずか10年ほどで到達する人もいれば、到達することなくキャリアを終える人も多いクラスです。
このあたりのポジションになるとクライアントとのMTGや社内会議、判断を仰ぎたいチームメンバーからも予定表を次々と埋められていくので、平日の定時中に自分の仕事をするのが難しい状態になってしまう人が多いです。錯綜する予定管理のためにそろそろ秘書も必要になってくる頃ですね。
その結果、休日も含め常時仕事のことを考えているような状況になっているのでもはや時給云々という考え方がナンセンスなのですが、それでも労働時間として管理されている範疇においては時給1万円という水準は改めて考えるとすごいですね。マックの労働1日分を1時間で稼ぐというのはなかなか普通の仕事では想像がつかない世界かもしれませんが、世の中には一定数そのような会社員が存在しているのです。
時給を考えることの無意味さ
さて、コンサルタントの時給にフォーカスしてみたこの記事ですが、そもそも論として時給という考え方が少しコンサルの働き方にそぐわないように思います。前章までの前提を覆すようですが、頭脳労働を生業とする限り、仕事とプライベートを完全に切り離して仕事以外の時間は全く仕事のことを考えないというような働き方は取り得ないからです。
休日でも頭のどこかでは仕事について考えていることはあるでしょうし、スキルアップのために何か勉強や情報収集することもあるでしょう。何かのきっかけで仕事のヒントがひらめいて思わず資料作りを始めてしまう休日を過ごすなんてこともあるかもしれません。そうやって過ごした時間を労働時間に換算して時給が下がったと嘆くようなメンタリティではとてもこの仕事を天職にすることはできません。
前章で見たように、パートナークラスにまで到達できれば桁外れの給与が支払われるようになりますし、そこで行使できるようになる裁量も社会的な影響力も驚くほど大きくなります。そこを目指して、若い頃は自分が身につけるべき能力を習得するために時間投下していくことが大事だろうと思います。私の周りでファームに残り出世してきた人たちは、給与が少ないと思ったことなどないと口をそろえて言います。
ちなみに、よく年収700万円を超えると幸福度は上がらないという研究がビジネス本などで参照されているのを見ますが、実感としては年収は上がれば上がるほど幸福度の上昇幅は大きくなってきた感覚があります。もし労働内容やその収入で得られるものが変わらないと仮定するならば、確かに幸福度は頭打ちするでしょう。しかし現実にはポジションの変化、収入の上昇がもたらす変化は、それを手にしないときには想像もつかないほど大きなものです。
コンサル業界は1億円プレイヤーもゴロゴロいる世界ですが、みなさん総じて楽しそうに働いていますよ。コンサルタントを目指すのであれば、ぜひそこを目指して頑張って欲しいと思います。
最後に
どうあがいてもマック以下の時給にはなりえないことは明らかなわけですが、仮にそうなることがあったとしても、そこでお金以外のものを得ようというモチベーションがあれば、あるいは仕事そのものが楽しければそんなことも気にならないでしょう。仮に今は少なくても高い給与水準は結果的についてくるものと考えていれば気は楽ですし、身を置く環境を間違えなければ必ずそうなっていきます。
とはいえ、コンサルタントとして早く収入を上げていくための戦略はあるので、また別の機会で書いてみたいと思います。